安全なクルマが欲しい。誰もがそう思っているはずです。ましてや家族をもっていれば、その思いはますます強くなるでしょう。
けれど残念なことに、絶対に安全なクルマなどこの世の中に一台も存在しません。いくら優れたボディ構造をもっていても、エアバッグが付いていても、時速100キロで大型トラックと正面衝突したら、乗員が助かる見込みはきわめて小さいのです。
ところが現代のクルマは、アクセルを踏み込めば軽く100キロ以上出てしまう。この部分に、クルマの安全が決して完全でありえないことがはっきりと表れています。
自動車メーカーは莫大な費用と高度な技術、そしてこれまでに培ってきた数々のノウハウを総動員し、日夜安全性向上に取り組んできました。その結果、エアバッグやABSといった非常に効果の高い安全技術が生まれ、またコンピュータ・シミュレーションを使ったボディ設計技術の発達も、衝突時の安全性はひと昔前とは比べものにならないほど高まることに成功しました。
しかし、そうして出来上がった“比較的安全なクルマ”も、決して完璧ではない。だからこそ、少しでも安全なクルマに乗りたい・・・と願うのは当然のことだと思います。
安全な車とは
では、安全なクルマとはいったいどんなクルマなのでしょうか? その目安のひとつとなるのが、自動車事故対策機構が公表している車種別の衝突安全性能です。ホームページ(http://www.nasva.go.jp/mamoru/index.html)で主要車種の衝突試験結果を見ることができるので、参考にしてみるといいでしょう。資料のページでは過去の膨大な試験結果を見ることができます。試験の点数がその人の実力をすべて表すわけではないのと同じで、本当の安全性能は衝突安全試験だけでは語れません。
シートベルトと安全
たとえば安全の基本となるシートベルト。以前のクルマはリア中央席を「補助席」と位置づけているため、乗員保護効果の低い2点式シートベルトが多く、また、追突時のむち打ちを防ぐヘッドレストも省略しているクルマが少なくありませんでした。
そのような中で2012年7月1日以降に生産されるクルマには、全座席への3点式シートベルト装備が義務づけられることになりました。クルマ選びをする際は「定員分のヘッドレストと3点式シートベルトが付いているクルマ」ということを、きちんと確認をして選ぶようにしましょう。
ABS・横滑り防止装置
シートベルトやヘッドレスト、あるいはエアバッグといった装備は衝突時の安全性を確保するものですが、衝突を防ぐという意味で必須アイテムと言えるのがABSです。急ブレーキ時のタイヤロックを防ぎハンドルの効きを確保する機能があります。
次に注目したいのは横滑り防止装置です。各社呼び方が違うのですが、原理も働きも同じで、電子制御によってクルマの動きを安定させる働きをもっています。今後クルマ選びをする際には、必ず搭載を確認しましょう。